お爺さん司祭様にお手紙を読んでもらった次の日、僕はさっそくお肌つるつるポーションと髪の毛つやつやポーション、それにお尻をふく紙を作る事にしたんだ。
と言う訳で、まずはポーション作り。
でも今日は僕一人でやるんじゃないんだよ?
「おかあさん。セリアナの実に穴を開けて中のジュースを出しちゃったら、僕に頂戴」
「ええ、わかったわ」
いつもだったらさ、他のお家でジュースを飲んじゃったセリアナの実を持ってきてもらって中の果肉から油と繊維を取り出すんだよね。
でも今回は僕がイーノックカウに行ってて村にいなかったもんだから、まだジュースの入ったまんまのセリアナの実から作んないとダメでしょ?
それに髪の毛つやつやポーションには卵とはちみつもいるんだもん。
そんなの僕一人だけじゃ無理だから、お母さんや近所のおばさんたちに手伝ってもらう事にしたんだ。
「ジュースを抜いたセリアナの実は、中の果肉が取り出しやすいように半分に割ればいいのね?」
「うん」
お母さんやおばさんたちがジュースを抜いてくれたセリアナの実を渡してくれたから、僕は錬金術の抽出を使って油をとってったんだ。
そしたらそこにはセリアナの実の殻とキラキラした繊維だけが残るんだけど……。
「どうしよう。キラキラの繊維でいっぱいになっちゃう」
白い果肉の時は油で固まってるからいいんだけど、その油を取っちゃうとキラキラの繊維がぶわって大きくなっちゃうんだよね。
これもね、いつもだったら一度に油を取るのは5個くらい、ちょっと多い時でも8個くらいだから、出たのは全部袋に詰めといて後でおしりふきにしちゃうからいいんだよ?
でも、今回はいっぱいできちゃうでしょ?
だから僕の前には、あっと言う間におっきなキラキラの繊維の山ができちゃったんだ。
「あらあら、こっれじゃあ作業ができないわね」
「とりあえず、別の場所に移しておきましょう」
その山を見て、これどうしようって思ってたらね、近く位にいた近所のおばさんたちが隣のお部屋に持ってっておくねって。
おかげで僕の前には割ったセリアナの実だけが残ったから、僕はまた油を抽出するお仕事に戻ったんだ。
「カールフェルトさん。ジュースがいっぱいとれたけど、これ、どうするの?」
「このジュースも、すぐに呑まないとすぐに腐ってしまうのよねぇ」
僕が油の抽出をしてたらね、セリアナの実からジュースをとってたおばさんたちがお母さんにこれどうするの? って聞いてきたんだ。
そう言えばセリアナの実は果肉だけじゃなくって、中のジュースもあっという間に悪くなっちゃうんだよね。
これ、いつもだったらすぐに飲んじゃうからいいんだけど、今日はいっぱいとったからみんなで飲むにしてもちょっと多すぎるんだ。
「これだけあると、流石に飲みきれないわよね。凍らせれば長持ちするだろうけど、これだけあるとねぇ」
どうしよっかなぁって、頭をこてんって倒すお母さん。
でも僕、抽出した油をお薬にしないとダメでしょ?
だからそのお話には入っていかないで、抽出した油でお肌つるつるポーションを作ってったんだ。
「あれ? まだお話してたの?」
僕ね、いっつもやってるから二つのお薬は結構早く作れるようになってるんだよ。
でも今回は一度にいっぱい作ったもんだから、結構時間がかかったんだよね。
なのにお母さんたち、お肌つるつるポーションを作り終わったのにまだセリアナのジュースをどうするかっていうお話をしてたもんだから、僕、びっくりしちゃった。
「あら、ルディーン。もうお薬は作り終わったの?」
「お肌つるつるポーションはできたよ。だから髪の毛つやつやポーションを作ろうと思ってはちみつと卵をもらいに来たんだけど、お母さんたちはまだ終わんないの?」
「流石にこれだけのジュースとなると、どうしたらいいか解らなくてね」
お母さん、セリアナのジュースが大好きでしょ?
でもすっごくいっぱいありすぎちゃうから、流石に全部を飲んじゃうのは無理って言うんだよね。
「そうだ! ねぇ、ルディーン。このジュースで、何かお菓子を作れないかしら」
「お菓子にするの?」
「ええ。お菓子にすれば、ジュースのままよりは長持ちするでしょ?」
セリアナのジュースを使ったお菓子かぁ。
果実氷にしちゃうのが一番簡単なんだけど、こんだけあると凍らせるとこが無いんだよね。
「イーノックカウのお家だったら、おっきあな冷凍庫があるからいいんだけど……」
僕、自分で持てる大きさのものじゃないと、ジャンプの魔法で一緒に持ってけないでしょ?
セリアナのジュースはいっぱいあるし、それに重たいから持ってく事はできないんだよね。
だから果実氷にするのはダメ。
じゃあ、何が作れるかなぁって、僕は頭をこてんって倒したんだ。
「あっ、そうだ! 前に作ったあれがあったっけ。うん、甘いジュースで作るお菓子って言ったらやっぱりあれだよね」
僕は目の前の器にいっぱい入ってるセリアナの実のジュースを見ながら、これだったら絶対においしいのが作れるよねって思ったんだ。
ちょっと前にね、お父さんがある失敗をしたんだ。
それはどんなのかって言うとね、ブラックボアの皮を煮てきれいにするって言うお仕事の時、その煮たお水を捨てるのを忘れちゃったって言う失敗なんだ。
でもお父さんが失敗しちゃったおかげで、ゼラチンってのを作れるようになったんだよ。
そしてそのゼラチンってのを使えば、甘いジュースを使ってゼリーって言うお菓子を作れるんだ。
「セリアナのジュースはとってもおいしいもん。これを使ったら、きっとおいしいのが作れるよね」
そう思った僕は、早速ゼリー造りを始めようと思ったんだよ?
でもね、そこでお母さんからストップがかかったんだ。
「どうしたの、お母さん? お菓子を作るんでしょ?」
「ええ、確かにお菓子にできないかしらって聞いたのは私だけど……セリアナの実から取った油は劣化が早いんでしょ? お菓子を作ってる間、そのままにしても大丈夫なの?」
「そっか。おしりふきは後でもいいけど、髪の毛つやつやポーションは先に作っちゃわないとダメだね」
そう言えば僕、その材料をもらいに来たんだっけ。
セリアナの油はね、酸化ってのをするから中に入ってるジュースよりも早く悪くなっちゃうんだよね。
だから僕、お母さんに言われた通り、先に髪の毛つやつやポーションを作っちゃう事にしたんだ。
あっ、でも。
「お母さん。僕、お薬作っちゃうから、その間にお父さんが失敗してできた毛皮を煮た時に作ったの、持ってきといて」
「毛皮を煮た時にできたのって、あの”ぎもーぶ”っていうお菓子を作るのに使った透明な粉の事よね? わかったわ」
お薬を作ったらすぐにお菓子を作りたいでしょ?
だからお母さんに、お父さんが前に失敗してできたのを持ってきてって来てって頼んだんだ。
そしたらちゃんと解ってくれたみたいで、すぐに獲りに行ってくれたんだよね。
だから僕、安心してもう一個のお薬、髪の毛つやつやポーションを作るお仕事を始める事にしたんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
セリアナの実が初めて出た時にも書きましたが、これってヤシの実くらいの大きさがあるんですよ。
そのヤシの実ですが、見た事がある人は解ると思いますが、スイカくらいの大きさなんですよねぇ。
それが山のように積まれているのですから、そこからとれる油も繊維もかなりの量になります。
因みにお爺さん司祭様が前に、ルディーン君は一度に水が目一杯分のポーションを作れると言ってましたよね?
これが今回の本編でルディーン君の言っている、いつもよりちょっと多めのセリアナの実8個分です。
そして今回はそれが山のようにあるのですから、できた繊維を途中で別の部屋に持っていかなければならなくなるのも当たり前ですよね。